前回は、イタリアと日本のスポーツ環境の違いについて書きましたが、今回はもう少し踏み込んで、イタリアの少年サッカーのリアルについて書いていきたいと思います。
イタリアで子どもがサッカーをするということは、ただスポーツをするというだけではなく、一つの環境の中に入っていくという感覚があります。
日々その中にいると、クラブの仕組みや費用、施設、親の関わり方、試合の空気など、外から見ているだけでは分かりにくいことがたくさんあります。
今回は、そうしたイタリア少年サッカーの現実的な環境について、できるだけ細かく書いていきたいと思います。
イタリアの少年サッカーはクラブ中心で成り立っている
イタリアでは、日本のように学校の中で部活動としてサッカーを行う文化はほとんどありません。
子どもたちは地域のクラブチームに所属し、そこで練習や試合を重ねていきます。
また、いわゆるクラブチームだけでなく、教会や地域の団体が関わっているサッカーチームもあり、子どもたちの居場所としての役割も担っています。
それぞれの町が持っているグラウンドなどの施設を使いながらクラブが運営されていることも多く、地域全体で支えられている形になっています。
イタリアのサッカークラブの種類|地域クラブからプロ下部組織まで
イタリアのサッカークラブは、そのレベルや環境に大きな差があります。
地域に根ざした小さなクラブもあれば、上のカテゴリーのクラブと提携し、育成面で連携しているチーム、さらにはセリエAやBに属するクラブの下部組織まで存在し、その幅はとても広いのが特徴です。
例えばユヴェントスには「アカデミー・ユーヴェ」と呼ばれる育成ネットワークがあり、実際にEizの所属しているチームもその中に含まれています。
実際にこうした機会については、こちらの記事でも書いています。
▶ ユヴェントス/ Juventusとの練習試合 ⚽
日本では土のグラウンドで練習や試合を行うことも珍しくないと聞きますが、イタリアではどんなに小さなクラブでも、基本的に人工芝または天然芝のグラウンドが使われています。
年間費用とお金のリアル
イタリアのサッカークラブでは、年間の費用はクラブによって差はありますが、おおよそ200〜500ユーロほどです。
現在はヨーロッパ圏でもかなり物価が上がっていることもあり、以前に比べて費用は上がっています。
さらに円安の影響もあり、日本円にすると高く感じることもありますが、それでも一年間という単位で考えると、そこまで大きな負担には感じません。
実は6年前、Eizが一番最初に所属したクラブで支払った費用は150ユーロでした。
「1年でこんなに安いのか」と驚いたのを今でもよく覚えています。
当時は1ユーロが約130円ほどだったため、日本円にすると約2万円弱ほどでした。
現在はイタリアも急激に物価が上がっているため、年間費も上がっていますが、それでも内容を考えると納得できる範囲だと感じています。
また、プロクラブの下部組織では、費用を支払わなくてもよい場合も多々あります。
費用に含まれるものとクラブの体制
この費用の中には、練習着やユニフォームが含まれていることが多く、サッカークラブの場合は、ほとんどのクラブで必要な備品も一式揃えられています。
特に印象的なのは、サッカー用のバッグです。
下にはスパイクを分けて入れられるようになっており、真ん中にはウェアを入れるスペースがある、まさにサッカーのために作られたバッグです。
ユニフォームにも同様にスポンサー名が入っていることがほとんどです。
また、試合で使用するユニフォームは各家庭で洗うのではなく、クラブ側が管理して洗濯まで行ってくれます。
さらに、クラブによっては怪我や身体のケアに関して、医療関係とつながりを持っていることもあり、必要に応じてサポートを受けられる環境が整っている場合もあります。
実際にその様子については、こちらの記事でも書いています。
▶ リハビリ、今は整える時間
プロクラブとのつながりとスカウトの存在
地域のクラブの中には、上のカテゴリーのクラブと提携し、育成面で連携しているチームもあります。
そうしたクラブでは、2〜3ヶ月に一度ほど、上のカテゴリーの指導者がグラウンドに来て、選手の様子を見たり、実際にトレーニングに関わることもあります。
また、週末の大会には、いわゆるスカウトのような存在が来ていることもあり、良い選手がいれば上のクラブへとつながっていく可能性もあります。
さらに、夏休みなどには、プロクラブが主催するトレーニングキャンプが開催されることもあります。
またここ数年では、レアル・マドリードやバルセロナといったスペインのクラブが主催するトレーニングキャンプも行われています。
実際の経験については、こちらの記事でも書いています。
▶ レアル・マドリード招待旅行獲得の思い出
親の関わり方とサポート
平日の練習では、ある程度力を入れているクラブになると、遠くから通っている子どもも多く、30分から40分かけて通う子もいます。
そのため、そういったクラブでは送迎バスが用意されていることも多く、子どもたちが通いやすい環境が整えられています。
一方で、週末の試合では1時間から2時間ほど車で移動することも珍しくなく、その場合は親が子どもを連れて行くことが多いです。
州を越えるような遠征になるとバスが出ることがほとんどですが、週末の試合や大会の移動は基本的に各家庭ごとに行われます。
試合観戦には入場料がかかることもある
イタリアの少年サッカーでは、試合を観戦するために入場料が必要なこともあります。
大会やトーナメント戦では、5ユーロから8ユーロほど、時には10ユーロを超えることもあります。
数年前まではもう少し安いイメージで、5ユーロ以下で入場できることもありましたが、最近では5ユーロ以下というのはほとんど見られなくなりました。
5ユーロを超えると、毎週のことを考えると決して小さな金額ではなく、家庭によっては負担に感じることもあるのではないでしょうか。
また、多くの会場ではバールが併設されており、朝食用のブリオッシュやカッフェ、そしてパニーノやポテトフライ、アルコール類などが販売されています。
ここでいう「会場」は、それぞれのクラブチームのグラウンドや施設のことで、地域に根ざした場所になっています。
ちなみにEizの所属チームでは、お父さん同士が自然に決めたルールのようなものがあり、
「自分の子どもが3点決めたら全員にビールをおごる」といった、うれしい出費があります。😆
試合の空気と現場の熱量
どこのチームでも感じるのが、親たちの応援の熱さです。
時には審判とのやり取りが激しくなることや、コーチ同士が議論になることもあり、試合の空気には独特の緊張感があります。
また、子どもたち自身も審判に対して意見を伝えたり、プレーの中で感情がぶつかり合う場面も見られます。
実際の試合の様子については、こちらの記事でも書いています。
▶ 理不尽な判定の中で、子どもはどう振る舞うのか
まとめ
ただどんな環境であっても、最終的にどう向き合うかはやはり本人次第であり、そこにどれだけの気持ちを持って取り組むのかが一番大切なのだと感じています。
それでも、こうした環境がすぐ近くにあることは、子どもたちにとって大きなプラスになっているでしょう。
そして、こうした環境でサッカーができていることに、とても感謝しています。
つづく
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さらに、イタリアの育成環境の特徴については、こちらの記事でも書いています。
▶ 走り込みが少ないイタリア少年サッカー文化

