少年サッカーでは、「周りを見よう」と声をかけられる場面をよく目にします。
試合を見ていても、
「なぜそこにパスを出さなかったのだろう?」
「横が空いていたのに気づかなかったのかな?」
と感じることがあるかもしれません。
でも実際には、周りが見えていないように見える子も、決して意識が足りないわけではありません。
ボールを扱うことに精一杯だったり、目の前のプレーに集中していたり、その子なりの理由があります。
一方で、周りが見えている子は、ボールを受ける前から味方や相手、スペースの情報を少しずつ集めています。
その違いは、センスや才能だけではなく、技術や経験、そして成長の過程とも深く関わっています。
周りが見えないのは、決して能力が低いからでも、意識が足りないからでもありません。子どもは成長する中で、少しずつ見えるものを増やし、判断する力を身につけていきます。
今回は、少年サッカーで「周りが見えない」とはどのような状態なのか、なぜ判断が遅れてしまうのか、そして周りを見る力がどのように育っていくのかについて、息子・Eizの成長を見守る中で感じたことも交えながら考えてみたいと思います。
⚽ こんな方におすすめの記事です
- 「周りを見よう」と言われても、なかなか変わらない
- なぜ判断が遅れてしまうのか知りたい
- 「見えている子」と「見えていない子」の違いを知りたい
- 子どもの成長段階に合わせた関わり方を考えたい
少年サッカーで周りが見えない子はなぜ判断が遅れるのか
少年サッカーを見ていると、「横が空いていたのに」「なぜそこに行ったのだろう」と思う場面があります。
でも実際には、その子の中では、その選択肢しか見えていなかったのかもしれません。
特に小さい頃は、ボールを止めることや運ぶこと、相手に取られないようにすることだけでも精一杯です。
頭も体も目の前のプレーに集中しているため、ボールを受けてから周囲を確認し、次のプレーを考える流れになりやすくなります。
つまり、
ボールを持つ。
周りを確認する。
次のプレーを考える。
という順番になりやすく、そのわずかな時間の差が、判断の遅れにつながることがあります。
その間に相手との距離が縮まり、プレッシャーを受けてしまえば、選べるプレーも限られてしまいます。
外から見ると「判断が遅い」と感じる場面でも、実際には判断力だけが原因とは限りません。
目の前のプレーに意識が集中し、周囲の情報を集める余裕がまだ十分ではないことも多いのです。
だからこそ、「判断が遅い=判断力が低い」と決めつけるのではなく、その子が今どんな段階にいるのかを見ていくことも大切なのだと思います。
周りを見る力は経験と習慣の中で育っていく
周りを見る力は、一度で身につくものではないのだと思います。
最初は目の前のプレーに集中するのが自然な成長段階です。
だから、「周りが見えていないように見える」ことがあっても、それだけで焦る必要はないのかもしれません。
実際、Eizも最初から周りが見えていたわけではありませんでした。
小さい頃は、どちらかというと感覚でプレーしていたように思います。
ボールが来てから考える。
その場の流れや雰囲気の中で動く。
そんな場面も多くありました。
当時は「周りを見る」ということ自体を、そこまで意識していなかったのかもしれません。考えながらプレーしているというより、その瞬間の感覚で体が自然に動いているように見えていました。
それが成長するにつれて、「今は考えながらプレーしているんだな」と感じる場面が少しずつ増えてきました。
相手はどこにいるのか。
味方はどこにいるのか。
次に何が起こりそうなのか。
そうした情報に目を向ける場面が増え、周囲を確認することも少しずつプレーの一部になってきたように感じます。
もちろん、試合の状況によっては目の前のプレーに意識が向くこともあります。それでも以前と比べると、見ているものや考えていることは確実に増えてきたように見えます。
見ていて感じるのは、「周りを見る力」は意識したからすぐに身につくものではなく、経験や習慣の中で少しずつ育っていくということです。
最初は意識しなければできなかったことも、経験を重ねるうちに少しずつ当たり前になっていく。その積み重ねが、視野の広さや判断力、そしてサッカーIQの成長にもつながっていくのだと思います。
周りが見える子は何を見ているのか
周りが見えている子は、単純に視野が広いというわけではありません。
実際には、ボールだけではなく、味方や相手、スペースなど、その瞬間のプレーに必要な情報を見ながらプレーしています。
例えば、
どこに味方がいるのか。
相手はどこから来るのか。
どこにスペースがあるのか。
そうした情報をボールが来る前から少しずつ確認し、その状況に合わせてプレーを選んでいるのだと思います。
例えば、ディフェンダーというポジションでは、ボールだけを見ていては対応できない場面も少なくありません。
誰が動き出しているのか。
どこに危険なスペースがあるのか。
自分はどこを消すべきなのか。
そうした情報を整理しながら立ち位置を調整していきます。
もちろん、ポジションによって見るべき場所は変わります。
それでも共通しているのは、ボールを持っている時だけではなく、ボールがない時間にも周囲の情報を集め続けていることです。
周りが見えている子ほど、目の前のボールだけではなく、次のプレーにつながる情報を集めながらプレーしているのだと思います。
👉 周りを見る力とサッカーIQの関係
周りを見る力は、「よく見える目」があるということではありません。集めた情報をどう判断につなげるかが、プレーの質を大きく左右します。
では、なぜ同じ年代でも判断の差が生まれるのでしょうか。サッカーIQを伸ばすために大切な考え方や習慣について詳しくまとめています。
👇 サッカーIQについて詳しくはこちら
周りが見えないとき、その子の中では何が起きているのか
周りが見えていないように見える時でも、その子の中では一生懸命プレーしていることがほとんどです。
外から見ると、「なぜ見えていないのだろう」と感じる場面でも、本人の中では今のプレーを成功させることに意識が向いています。
ボールを失わないこと。
相手に取られないこと。
目の前のプレーを成功させること。
そうしたことに集中しているため、周囲の情報まで意識を向ける余裕がなくなってしまうことがあります。
また、ミスをしたくない気持ちが強い時ほど、目の前のことだけに意識が向きやすくなることもあります。
その結果、周囲の情報を集める余裕がなくなり、選択肢そのものが見えなくなってしまうこともあるのかもしれません。
だからこそ、「周りが見えていない」という結果だけで判断するのではなく、その子の中で今どんなことに意識が向いているのかを考えてみることも大切なのだと思います。
周りが見える子ほどプレーに余裕がある理由
周りが見えるかどうかは、単純に視野の広さだけで決まるものではないのかもしれません。
実際には、プレー中にどれだけ落ち着いて状況を見られるかも大きく関係しているように感じます。
ボールコントロールや身体の動かし方にゆとりが出てくると、その分だけ周りを見ることにも意識を向けられるようになります。
さらに経験を重ねることで、
「この場面では相手がこう動きやすい」
「ここにスペースが生まれそうだ」
「次はこんな展開になりそうだ」
といった予測も少しずつできるようになります。
すると、ボールを受けてから慌てて考えるのではなく、次のプレーをイメージした状態でプレーできる場面が増えていきます。
その結果、ボールだけではなく、味方や相手、スペースの状況まで落ち着いて見られるようになっていくのだと思います。
だからこそ、周りが見えているというのは、単純に視野が広いということではなく、技術や経験、そして次のプレーを予測する力が重なって生まれるものなのかもしれません。
周りが見える子ほど状況に合わせて判断している
コーチに言われたことや、基本的な動きを身につけることはもちろん大切です。
ただ、サッカーは毎回同じ場面になるわけではありません。
仲間の位置も違う。
相手の動きも違う。
空いているスペースも毎回変わる。
だからこそ大切なのは、「こうするべき」という形だけにとらわれるのではなく、その瞬間の状況に合わせて判断することです。
もちろん、いつも同じプレーを安定してできることは大きな強みです。
ただ一方で、身につけた形だけに頼りすぎると、本当は他にスペースがあるのに気づけなかったり、より良い選択肢を見逃してしまったりすることもあります。
実際に見ていても、状況をよく見ている子ほど、その場に応じて自然にプレーを変えているように感じます。
周囲の情報をもとに判断することで、その時々に合った選択ができるようになるのかもしれません。
サッカーの面白さは、基本を積み重ねながらも、その瞬間ごとに変わる状況の中で何を選ぶのかにあるのだと思います。
「周りが見えていない」だけで判断しないことも大切
ここまで書いてきたように、「周りが見えていない」と一言で言っても、その理由は一つではありません。
今のプレーに精一杯なのか。
ボールが来てから考える癖になっているのか。
周りを見る習慣がまだ身についていないのか。
あるいは、技術的な余裕や経験がまだ足りていないだけなのかもしれません。
同じように「周りが見えていない」ように見えても、その中で起きていることは子どもによって違います。
だからこそ、「見えていない」という結果だけを見るのではなく、その子が今どんな段階にいるのかを見ることも大切なのだと思います。
同じプレーに見えても、課題は一人ひとり違います。
今は味方の位置を見ることを覚えている途中かもしれません。スペースに気づくことを学んでいる途中なのかもしれません。あるいは、次に起こりそうなことを予測する力を身につけようとしている段階なのかもしれません。
そうした力は一度に身につくものではなく、経験を重ねる中で少しずつ育っていくものなのだと思います。
以前の記事でも書いたように、少年サッカーのミスというのは、単純な失敗ではなく、その子の成長段階が表れていることもあります。
だからこそ、「周りが見えていない」というプレーを見た時も、その結果だけで判断するのではなく、今その子に何が見えていて、何がまだ見えていないのかに目を向けることが大切なのかもしれません。
ただ「周りを見よう」と伝えるのではなく、その子が今どんな段階にいて、何を学んでいる途中なのかを知ろうとすること。
そうした視点を持つことで、子どもの成長の見え方も、親の関わり方も少しずつ変わってくるのかもしれません。
👉 少年サッカーのミスは、本当に「失敗」なのか
試合でのミスを見ると、つい「失敗だった」と考えてしまうことがあります。
でも、そのミスは子どもが新しいことに挑戦している証かもしれません。ミスを責めるのではなく、成長のサインとして捉える考え方についてまとめています。
👇 少年サッカーのミスについて詳しくはこちら
👉 「周りを見て!」と言いたくなった時に考えたいこと
「なんで見えていないの?」
「そこ空いていたのに」
試合を見ていると、つい子どもに伝えたくなることがあります。でも、その一言をかける前に、その子が今どんなことを学んでいる途中なのかを考えてみることも大切なのかもしれません。
親はどこまで口を出すべきなのか。見守ることとの違いや、私自身が大切にしている関わり方について書いています。
👇 親の関わり方についてはこちら



