海外少年サッカーを見ていると、日本との違いを感じることはたくさんあります。
その中でも、最初に驚いたのが練習時間の短さでした。
実際にイタリアでは、1回のトレーニングは90分程度が中心で、2時間以上の練習というのはほとんど聞いたことがありません。
最初は、「それで本当に足りるのだろうか」と感じたこともありました。
一方で、ブラジルやアルゼンチン、日本を含めたアジアの国々では、ヨーロッパに比べて練習時間が長い傾向があるとも言われています。
ですが実際に子どもたちの様子を見ていると、そこには単純な練習量の違いだけではなく、育成に対する考え方の違いがあるように感じるようになりました。
試合中心の環境、やりすぎないという感覚、そしてサッカーから離れる時間を大切にする文化。
今回は、イタリアを中心としたヨーロッパの少年サッカーで感じた、練習時間や休む文化、そして育成の考え方について書いてみたいと思います。
この記事はこんな方におすすめです
- イタリアの少年サッカー育成に興味がある方
- なぜヨーロッパの少年サッカーは練習時間が少ないのか知りたい方
- 日本とヨーロッパの育成文化の違いを知りたい方
- 子どもが長くサッカーを続けられる環境について考えたい方
ヨーロッパ少年サッカーは試合の中で育つ
イタリアでは、いわゆる走り込みのようなトレーニングはほとんどなく、練習の中でも試合形式、いわゆるゲームの時間が多く含まれています。
もちろん最初にテクニカルな練習や基礎的なメニューを行うこともありますが、日本と比べるとゲームの比重が高いように感じます。
特に印象的なのは、小さい頃から実際の試合を多く経験させる環境があることです。
技術ができてから試合に出るというよりも、試合の中でサッカーを覚えていくような感覚に近いように感じます。
また、いわゆる朝練のような文化はほとんど見かけません。
学校の前に練習をする、といった形も現実的にはなく、クラブのトレーニング以外で何かを強制的に積み重ねるという空気はあまり感じません。
個人的に自主練をしている子もいるとは思いますが、日本のようにそれが当たり前という雰囲気はほとんどありません。
そのためか、クラブの練習以外でも、公園などで自然に集まってサッカーをしている子どもたちの姿はよく見かけます。
いわゆる「自主練」という形で一人で取り組んでいる様子はあまり見ませんが、サッカーそのものを楽しんでいる時間は日常の中にしっかりあるように感じます。
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ヨーロッパ少年サッカーはなぜ休む時間を大切にするのか
イタリアでは、6月の初めに学校が終わります。
そしてその流れで、6月中旬頃にはクラブの活動もストップします。
そこから長い夏休みに入ります。
学校は9月の2週目頃から始まり、サッカーの活動もそれに合わせて、または少し前から再開されます。
クラブによっては夏の練習が設けられていることもありますが、それも任意参加であり、強制ではありません。
そのため、サッカーを真剣にやっている家庭であっても、夏はバカンスに行き、まったく練習に参加しないということも普通にあります。
また、夏休みだけでなく、クリスマスやイースターなどの休暇の時期にも、子どもたちをしっかり休ませるという感覚があります。
長期休みだけでなく、たとえ数日間の短い休みであっても、その期間はあえてサッカーから離れさせるようなスタンスに見える場面もあります。
また、プロクラブの下部組織であっても、イタリアやスペイン、フランス、ドイツ、イギリスなどヨーロッパでは、しっかりとした休息期間を取ることが大切だという考え方があるようです。
実際に、サッカーをまったく行わない期間をあえて設けているという話もよく聞きます。
育成の段階であっても、こうしたサッカーから離れる時間は意図的に作られているように感じます。
また、イギリスに住んでいる姉から聞いた話でも、同じような感覚があるようです。
イギリスでも夏休みはイタリアより少し短いものの、サッカーをしない期間をしっかり取ると話していました。
さらに、クリスマスなどの宗教的な休みの時期には、試合や公式戦もストップすることが多いそうです。
こうした点を見ると、サッカーから離れる時間を作るという考え方は、イタリアだけでなくヨーロッパ全体に共通している部分もあるのかもしれません。
こうした夏の期間に、あえてサッカーから完全に離れる時間を取るという考え方にも、最初は少し驚きがありました。
ただ見ているうちに、それは単に休んでいるというよりも、心身ともにリセットするための時間として設けられているようにも感じるようになりました。
あえて離れることで、また次にしっかり取り組める状態を作る。
そうした考え方には、どこかプロフェッショナルな印象を受けたこともあります。
また、すべての環境が同じ考え方というわけではありません。
特にプロクラブの下部組織などでは、週末の試合だけでなく、金曜日から遠征に出て月曜日に帰ってくるようなスケジュールになることもあり、サッカーに費やす時間が大きく増える場合もあります。
そうした環境では、日常の多くの時間がサッカーに使われることになります。
そのため、親の中には「サッカー以外の活動や経験も大切にしたい」と考え、あえてそういった環境を選ばない家庭もあります。
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ヨーロッパ少年サッカーの育成方針|年代ごとに考え方が変わる理由
イタリアの育成を見ていて強く感じるのは、単に練習時間が少ないということだけではなく、年代ごとに育成の目的が明確に分けられているという点です。
プルチーニやエゾルディエンティといった年代までは、サッカーはあくまで「楽しむ段階」として位置付けられています。
無理に負荷をかけたり、結果だけを求めたりするのではなく、まずはサッカーを好きになることや、試合を通して経験を積むことが大切にされているように感じます。
一方で、ジョバニッシミの年代に入る頃から、アゴニスティカ(agonistica)と呼ばれる競技としての段階へ移行していきます。
この時期になると、試合結果や競争の要素も少しずつ強くなり、選手として求められるものも変わっていきます。
つまり、小さい頃からすべてをストイックに積み上げていくのではなく、「楽しむ段階」と「競技として取り組む段階」が明確に分けられているのが特徴です。
だからこそ、小さい頃には「やりすぎない」「無理をさせない」「しっかり休ませる」といった考え方が、ごく自然なものとして存在しているように感じます。
練習時間が短いことや、長期的にサッカーから離れる時間をあえて作ることも、単に負担を減らすためではなく、この育成方針とつながっているのではないかと思います。
私自身は、小さい頃から「練習はやればやるほど上手くなる」という感覚でスポーツに向き合ってきました。
だから最初は、これだけ練習量が少なくて大丈夫なのかと感じたことも正直あります。
ですが実際にその環境の中で子どもたちを見ていると、無理に追い込まれることなく、自然とサッカーを楽しみながら続けている姿がありました。
そしてその背景には、「今は楽しむ段階なのか、それとも競技として取り組む段階なのか」という考え方がしっかり存在しているのだと、次第に感じるようになりました。
まとめ|ヨーロッパの育成は「今何を育てるか」を大切にしている
イタリアの少年サッカーを見ていて感じるのは、単に練習量を減らしているのではなく、年代ごとに育成の目的が明確に整理されているということです。
小さい頃はサッカーを楽しみ、仲間とプレーする喜びを知ることを大切にする。そして成長に合わせて、少しずつ競技としての要素を強めていく。その考え方が育成全体に一貫しているように感じます。
日本では「たくさん練習すること=上達すること」と考えられがちですが、イタリアで子どもたちを見ていると、無理なく長く続けられる環境づくりも同じくらい重要なのだと実感します。
実際に現地で子どもたちの活動を見ていると、「今は楽しむ段階なのか、それとも競技として取り組む段階なのか」という考え方が育成全体の土台になっていることを強く感じます。今回紹介した練習量や休暇の考え方も、そうした育成方針の一部なのだと思います。
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